××倶楽部

 梯子の上で、まくり上げた袖から見える腕はなかなか素敵すぎて目眩がしそう。その腕でリオ様の額入り写真を大切そうに持つ社長はリオ様と見つめ合う。その横顔が私なんかに見せる優しい顔とは比べものにならないくらい優しくて、私の恋心は小さく疼いた。


────僕のファーストキスは十四の時にリオさんに奪われました。って社長は言ってたけど、社長とリオ様ってどんな関係なんだろう?


 何か特別な関係があるのかなぁ……私なんか付け入る隙がないくらい特別な何か……


「町田さん、今ミーナさんのほうも外しますから、落とさないように大切に持っていてください」


「あ、はい!」


 リオ様のゴールド額縁入りの顔写真を受け取る。とても女性らしく知的に口元を引き上げた綺麗なリオ様のお顔。

 女の私でも、うっとりするくらいの美人だ。肌も綺麗で、凛とした声に、威厳ある女王様。


 私が敵うような人じゃない。


 逆立ちしたって無理。



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