男嫌いのプリンセス
「渡さないって、あなたねぇっ!!」
美弥さんが私を睨み付ける
マスコミの人達は、何事かと私達を見ている
「海都は何があっても渡しません!!勝負に敗れた私が言えることじゃないけど、でも海都だけは渡せないの!」
海都だけは、居てくれないとダメなの
海都がいないと、何もできないの
それくらい、海都が大切なんだ
「負けた分際で何を言ってるの!?海都くんは私のものよ!!海都くんだって、私との婚約を喜んでくれてるわ!」
美弥さんの言葉が、私の胸に刺さる
喜んでくれてる
確かに、ステージに立っていた二人は幸せそうだった
その姿を思い出して、また涙が溢れ出す
海都も笑ってた
美弥さんの隣で
「分かったら引きなさいよ!!あなたに海都くんは似合わないんだから」
似合わない
そんなこと分かってるよ
でも
「…側に、いたいんだもん…ひく……海都じゃないと、ダメなんだもん…」
途切れ途切れに言った言葉は、涙のせいで震えてしまった
私の、素直な気持ち
「っ!!だから、海都くんは私のもの…」
「誰が、お前のものだって?」
今まで一言も発しなかった海都が、口を挟んだ