8月の花嫁

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灼熱の太陽の下 カラフルなビーチパラソルが所々に咲き乱れる浜辺
ファインダーを覗く彼が先輩を撮る その瞳は鋭い中にも愛情が見えた
そう言えば いつもそうだった 優しい眼差しで彼は彼女を見ていた
それが彼の彼女に対しての愛なのだろうか 
私には決して見せない愛情のかけら 
私にはわからない愛があのふたりにはあるのだろう

「あ 真顔になってる 笑顔ね え・が・お でね」
「すいませ~ん….」

いけない またやっちゃった つい 素に戻っちゃって 

撮影中に 私は何を考をえているのだろう
あんな事があってからふたりを見る度に気になって 
仕事に集中しなきゃ

痛っ.. 踏んだ 何か踏んだ 思わず尻もちをつく
足を見た ガラスの破片が足の裏に刺さっている
白い砂に混ざって血が滲み出る

「どうしたの?大丈夫?ドジっ子なんだから ほら」先輩が私に手を差し出す
「足…」
「えっ」

彼女が血に染まる足を見た

「きゃぁ~大変 誰か」

カメラマンの彼が走ってくる スタッフ達も 私を囲む人の群れ

「水 持って来い」

傷口に水をかけて洗う 血は刺さった破片から次から次へと流れている

「かなり 深く刺さっているね
         すぐ車を用意して どこに病院があるか 調べるんだ」

「はい」スタッフが彼の指示で動き出す

身体にタオルを掛けてもらう 
足に巻かれた白いタオル 赤い血で染まっていく 

「ほら 肩につかまって」

私は少し躊躇して彼の首に手を回した
そのまま彼に抱きかかえられて車へと向かう
その後を心配そうに先輩がついてくる


彼の甘いコロンの香りと煙草の匂いに また 私の胸がチクリと痛んだ
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