8月の花嫁

23

ひと通りの撮影が終わり日本へ帰る2日前の事
彼が日本から戻って来た

私はあの彼の告白を先輩に伝えてはいない
私の口から言えるわけがない 

彼女はいつもより長く鏡に向かっていた
お気に入りのローズ色のリップをほんのりと唇にひき
髪を整えにっこりと笑って見せた

「ちょっと出掛けてくる」
「うん...気をつけて いってらっしゃい」

彼に会いに行くことは 彼女の行動でわかる

「お昼のランチはひとりで行ける?」
「先輩 私を子ども扱いしないでください!!!
              ひとりで行けますよ」
「メイクさんと行きなさいよ」
「大丈夫ですって」
「クスッ わかったわ 行ってきます」
「楽しんできてね」

彼女は笑顔で出て行った

これから…

あの...衝撃的告白を彼の口から聞かされるのかと思うと
胸が詰まった

傷ついて彼女は帰ってくるかもしれない

彼女の傷が癒されるのならば今夜はとことん彼女に付き合おうと…


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