8月の花嫁

24

昼食が終わり 
私は あのカメラをくれた彼と

「撮りたいと思うものにカメラを向けて自分が良いと思った瞬間に
                      シャッターを押すんだ」
「はい」

私は

雲ひとつない何処までも続く蒼い空に 
果てしなく続くコバルトの海
ビーチで遊ぶ子供達 
日焼けしたカップル

風に揺れているヤシの葉 
色とりどりのパラソル

あらゆる物にカメラを向けてみた

「様になってるよ」
「ほんとですか?」
「ああ」

彼もまた清々しい笑顔で 
ストレートの柔らかそうな栗色の髪が風になびて
あの彼より若くて日焼けの感じも色が白い
だけどモテそうな面持ちは若いだけあって….

それに彼は彼女はいるかもしれないけれど
指輪もしていないし その形跡もないようだ

私は何を比べているのだろう
可笑しい


覗くカメラのファインダーに突然飛び込んできた姿

息を切らし走ってくる指輪の形跡がある彼

私の目の前に来て

「彼女は ここに戻ってきているか?」と息荒く訪ねた
「いいえ どうしたんですか?」
「彼女と食事をしていて...その後…話しをたんだ あのことを..」

彼女は話の途中で居たたまれずにその場から飛び出していったそうだ

その後 彼は彼女を探したがどこにも見つからず

私といるのではないかと




その後 部屋に戻っても彼女の姿はなかった


彼女はどこへ…..


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