ゆきんこ
それから……


15分ほど経っただろうか…?





それでもまだバスは来なくて……




飲んでいたミルクティーの缶も、次第に冷たくなってきた。




「せめて今どこ走ってるのかわかりゃーいいのにな。」



「……確かに。」



「さみーな…。手ェ、冷たいし。」



「手袋しないからだよ。」



誰かさんと同じ……。



「…………。」


あ。
また………





考えてしまっていた。




今一緒にいるのは、文人なのに……




なのに、どうして新野のことばかり……



思い出してしまうのだろう。







「…さっきからさ……、幸、何考えてる?」



「………え?」



「心ここに在らず。」



「…………。」



「幸はさあ…、今日楽しかった?」



「ん、もちろん!アイスはおいしーし、こんな生き生きしてる文人初めて見たよ。よっぽど好きなんだよね、バスケ。」



「………好きだよ。」



「いいなあ、私もそれっくらいバレーが好きだったら………」



「好きだよ。………幸が。」




…………。



「………え?」



今……、何て………?




「卒業まで黙ってようと思った。でも……、このままじゃダメだって。咲は煽るし、ライバル出来るし。」



「え…、え……?!」



ちょっと待って。好きって冗談でなくて?



「……新野にとられたくない。」



「……は?何でまた新野?」



「お前は……すぐに顔に出る。あいつの話題出るだけで、顔が赤くなるっつーのに……自覚ないんだもんなあ……。」



「………?!うそ?」



確かに、かっこいいし、ずっと憧れてはいたから……。




「…けど……、あいつにはやれない。」



「……。新野には……彼女いるよ?」



「…でも…、二人が仲良くなんの、見てらんない。なんとなく直感だけど……、嫌なんだ。」



「……文人……。」







文人のひやりとした手が、手袋越しの私の手にも………


伝わってくる。




その距離は……。





またたく間になくなって……






カラン……と、床に叩きつけられたミルクティーの缶の音でようやく……




私は、




我に返った。





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