ゆきんこ
私……、今、何してた?







てか、




文人と私……



キス……しちゃった…!




「………ごめん。」




「…………。」




「……ごめん、幸。」




「…………。」



謝るなら、どうしてこんなこと………







その時。



まるでタイミングを見計らったようにして……



目の前で、バスが止まった。





「……行けよ。」



文人が、下を向いたまま…


呟く。



「……文人は……?」



乗らないの?



「俺は……、反省がてら、歩いて帰るわ。」



「ふぶいてるし、乗った方がいいよ。」



「…これいじょう、無神経なヤツになりたくない。」



………そんなの……



「……私は……、気にしない。気にしてなんかないよ。だから……、明日から、また普通に戻れるよね?」



いつもみたいに、馬鹿やって。


いつもみたいに、咲とプチバトルして……。


いつもみたいに……




「ん。任せとけ。」



ようやく文人は顔を上げて……、



あまりに寂しそうに笑うから……。




私は胸が苦しくなった。




文人はそこから一歩も動かず……




バスの中の、私を見上げる。







その………




ずっと後方に………








君がいたなんて、全く知るよしもなくて………





文人のちっぽけになっていく姿を……



ただずっと……




見つめていた。






恋の吹雪が吹き荒れる……。








わたしが、自分の小さな恋を自覚したのは……




その、ファーストキスから



数時間後のことだった。











< 45 / 234 >

この作品をシェア

pagetop