桜の生け贄
「ゆ…くん…ゆ…きくん…悠輝くん!!」

俺はあずさの呼ぶ声で目が覚めた。

「目ぇ覚めたぁ?悠輝くん。」
「あ…あず…さ…?」
「そうだよ…もう…悠輝くんが悪いんだよ…」

俺はあずさに冷たいこと言ったことを言ってると理解した。

「騙されててくれないから…ね?」

は…?

あずさは冷たい声で説明した。

「もう知ってるでしょう…?

あの伝説について、図書館で調べてきたもんね…」

「でも…あれは…嘘…だろ?」

声が震えているのがよく分かる。

「嘘なんかじゃないよ…だってあれこの村で実際にやってるもん…」

俺は気がついた。

「分かった…?悠輝くんの両親は、この桜達の生け贄になったんだよ…」

そう言ってあずさは、例の白い花びらの桜に手をついた。

周りを見ると、沙雪学校の中庭にある桜が周りに俺を囲むように咲いていた。

「皆知ってたんだよ…悠輝くんが来る事も、生け贄になることも。最初から…

それを知ってたから、み~んな、悠輝くんと仲良くしようとしなかったんだ…」


そうだ…

俺は…嫌われてたんだ…

あずさとゆず以外…全然話したことない…

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