甘い唐辛子


未緒さんのバーは隣町にあり、小さいけれど、雰囲気のいい店だった。

内装は全体的にシンプルで、白と黒と銀で統一されている。

小さなステージもあり、前に行った時は、髭の生えたおっさんがフォークギターの生演奏をしていた。


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『Bar 月蝶』
それが未緒さんのバーの名前。
看板には店の名前通り、月に蝶が合わさる形で描かれていた。


重めの扉を開くと、薄暗い店内に優しい音楽が流れていて、客は多いが皆静かだった。


「いらっしゃい。奥に、どうぞ。」
いかにもバーテンダーと言った格好は、未緒さんによく似合っていた。

「兄貴、美人さんは!?」
テンションが高い希波矢は、食い付くように未緒さんにきいた。

本当に兄弟かって聞きたくなる程に、この兄弟の内面は似ていない。


「あそこ。お客さんに捕まってる。」

未緒さんが見る方向に目をやると、酔ったオヤジ2人がカウンター席から身を乗り出して、未緒さんと同じ格好をした女に話しかけていた。

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