甘い唐辛子
Side:イト
霞澄達を見送ってから部屋に戻ると、ニヤニヤした顔の海と顔を青くした希波矢が俺を見つめてきた。
なんだ?気持ち悪い。
「どうだった?」
「あの美人さん、何者?」
希波矢はクッションを抱え込み、怯えている様子だった。
慣れていないから、当たり前か。
うちの組員は俺の友達だって知ってるから、あんなに睨むことは無い。
逆に海が平気なのが不思議だ。
とりあえず2人がいるベッドの近くに座り、ベッドにもたれた。
「婚約成立。あの人が今日から俺の婚約者。」
なるべく冷静に言ったが、手の平には汗をかいていた。