甘い唐辛子


「これ!これがいいって!!」
「どれ?」


俺が指さしたのは、8冊目の雑誌の最後の方に載っていたネックレス。

小さな青いサファイアを中心に、小さなダイヤが数個、バランス良く付いている、シンプルなネックレス。


霞澄のイメージにも合うし、霞澄の外見にも合う。
ドレスがどんなのかは、霞澄が簡単に描いた絵でしか知らないが、きっと合うと思う。


霞澄は口に人差し指と中指を当てて考えていたが、暫くすると納得したように頷いた。

俺はそれを確認すると直ぐに電話の子機を取り、雑誌に書かれてあった番号を押した。

電話に出た女は、マニュアル通りの言葉を繋げた後俺の注文を聞き、注文内容を繰り返して、電話を切った。


とりあえずネックレスは決まり、霞澄も心なしかほっとしているようだ。


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