甘い唐辛子


「結構歩かせたな…悪かった。」
「いや、買えたから良かったよ。でも、金、払わなくて良かったのか?」

結局、喫茶店での代金も、鞄代も維十が払ってくれた。

私は今日、1銭も使っていないことになる。

ここまでくると、さすがに申し訳なくなるし、何も言わない訳にはいかない。

でも、「今日だけだ。女に金払わすなんて、カッコ悪いだろうが。」と言う維十には、何も言えなかった。




維十の部屋、維十のベッドの上に今日買ったパーティー用のバッグを出し、眺めていた。
靴と合わせた銀のチェーンやベルトが付いた、白のバッグは、綺麗だった。

「お嬢、紅茶を淹れやした。いかがっすか?」

ドアがノックされて開かれた。そこには靖哉さん(通称、ヤスさん)がいた。
ヤスと呼ばれていて、将来の維十の右腕になる人だと言われている。
ついでに言うと、この人だけが私のことをお嬢と呼ぶ。

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