甘い唐辛子
「あぁ、ありがとう。維十は?」
「若は、親父の部屋っす。紅茶、持って来ましょうか?」
「いや、行くよ。ありがとう。」
いつまでも、他人行儀なのは可笑しいと思った私は、ここに来た初日の夜から藤成の組員と同じ様に、海堂の組員に接していた。
それにいち速く馴染んでくれたのが、ヤスさんだ。
年も近いし、どことなく神楽に似ているヤスさんは、この組の中で維十の次に親しみやすい人。
私は鞄を箱にしまい、維十の部屋を出た。
普通のより大きめのリビングに行き、ソファーに座る。直ぐにヤスさんがお盆に乗せたティーセットを持って来て、準備をしてくれた。
「若はすぐに来ますんで、それまで俺で我慢してくだせぇ。」
金髪に、耳上から後頭部にかけて3本の剃り込みが印象的なヤスさんは、可愛らしい花柄のティーカップが、ビックリする程似合わない。