甘い唐辛子
「えぇ!!?霞澄ちゃん、婚約者いるの!!?」

フライパン片手に出てきた未緒さんは、目を見開き、普段とは別人のような勢いだった。

「はい。」

「誰!?御曹司とか!?」

「いえ、ここに。」


霞澄は普通に俺の服を摘まみ、引っ張った。

『この人が婚約者です』

という意味だろう。


それは非常にマズイ…

未緒さんが初めて惚れた女の婚約者という、恐い位置にいることを忘れていた…

「……維十、どういうことかな?」

微笑む未緒さんの目は、笑っていなかった。
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