君という海に溺れる
「わたし、おねえさんのことだいすきだよ」
"だから、わらって"
伝えたかった言葉は、君の唇から奏でられて。
───────コポ、
幸せの波紋が広がっていく。
愛しい空気が俺の肺に触れた。
どうして、君がそれを言うの。
俺が、君に贈りたかった言葉を。
だけどその言葉が何より嬉しくて。
体から滲み出る感情。
俺の顔が、体が、その全てを使ってこの幸せを表現しようとする。
(君は、ずるい)
こんなにも簡単に、俺からこの言葉を引き出すんだ。
「…ありがとう」
彼女の瞳に映る俺が微笑んで伝えた"ありがとう"に、彼女は俺が大好きなその笑顔を木漏れ日の下に揺らした。
魔法の言葉が運ぶ。
(二人の幸せを映すように)