君という海に溺れる
今日も変わらず、俺の隣には君がいて。
公園の片隅で微睡む時間を、どうしようもなく幸せだと感じた。
「それ、なぁに?」
その日少しだけいつもと違っていたのは、俺があるものを持っていたこと。
クリクリとした瞳を瞬かせ、興味津々といった表情で俺の手元を覗き込んでいる彼女。
小さな体を目一杯に乗り出す姿はとても愛らしい。
そんな彼女の興味を一身に集めているもの。
それは俺の手の中にある一本のギターだった。
珍しく朝からしていたバンドの練習。
メンバーのバイトを理由に昼前に練習を切り上げた俺は、その足で此処へ来ていた。
「これ?ギターっていうんだよ」
「ぎたぁ…?」
きっと初めて口にした言葉だったんだろう。