君という海に溺れる
夢想-ユメオモフ-




少女は、ただ笑ってほしいと願った。



綺麗な瞳と甘い声を持つその人はいつもとても悲しそうに笑う。

眉を下げて何かを堪えるように、笑う。



どうしてそんな顔をするの?



そう問い掛ければ、その人の瞳は更に寂しさの色を増した。深い深い闇の色を。


少女はその瞳が嫌いだった。




< 68 / 296 >

この作品をシェア

pagetop