この声が枯れるまで
「俺の想い~、君に響け~、ra~ra~rarara...」

暗い暗~い音楽室の倉庫で、俺は友達とグランドでサッカーして、遊ぶわけでもなく、一人でギターを弾いていた。普通の小学生ならおにごっことかしたり、カードゲームして盛り上がったりして楽しむわけだけど……


「んぁ~~~~~!!!むっっっずかしぃ!!!」


俺は、兄ちゃんが作った曲に苦戦中。何回やってもうまくいかない。兄ちゃんはこの曲を、高校一年の時、文化祭でみんなの前で披露した。あの迫力は今でも鮮明に記憶している。たくさんのライトに包まれて、自分達のみんなにたいする応援歌を、兄ちゃんの高校に響かせる。まるで、この学校が、本当のライヴ会場にでもなったかのように、一人一人に笑顔を届けたんだ。


正直、兄ちゃんには一生勝てないと思うほどだった。


「~~~ってか、この倉庫狭すぎだろっ!!!」


右にドラム、左にトロンボーン数個が俺の体に押し寄せてきた。こんな狭い倉庫で練習するのがダメだった。よし、場所をかえるか。俺は、吹奏楽倶楽部の、雑に置かれた楽器をどかして、倉庫から出た。


外では、元気良く遊ぶ男子グループの姿が見受けられた。みんなは、あきらめることなく、サッカーボールをただただ追いかけていた。女子はそれを、教室の窓から、体を窓からだすほど、のめり込んで、その様子を見ていた。まあ、女子の大好きな「恋バナ」っていやつをしてるんだと思う。小学生なのに、そういうところは、一丁前なんだよ。


俺はひとつ、ため息をつくと、屋上へ向かった。屋上は、風通りが良く俺の一番のくつろぎ場。





「ここなら……おもいっきりギター弾けるな。」


静かで、誰もいなくて、誰にも聞かれなくて…俺にとっては、絶好の場所だ。先生にも見つからないし、風を感じながらひけることに、少し興奮していた。



しかし、その時…



「すいません………」



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