この声が枯れるまで
「はやとー。ご飯よー。おりてきなさーい。」


お母さんがパンパンとフライパンをお玉で叩く。夕食の時間だ。俺の腹時計も、もう6時を回っていた。


「んん~。今いく。」


俺は、ため息と同時にそうつぶやいた。たぶん聞こえてないだろうと思うくらい小さな声で。


「んも~。隼人おそいわねー。なぁに、してんのかしら。」


「ゲームじゃね?」


もう。母さんはそういうと、二階の隼人の部屋にあがろうとした。


「母さん。俺行くよ。」


兄ちゃんはそういうと、母さんは待っててといい階段を上った。


「はーやーとー。飯だってさ」


「うん。まって、今行く。」


俺は布団を頭からかぶりながらそういった。兄ちゃんは、「腹減っただろ」というといきなり俺の部屋にあるギターをケースから出した。


「今の隼人のための曲。弾いてやる。」


兄ちゃんは、そういうと胡坐をかいて、にやっと笑った。



その歌詞の中には「ここでへこんでたら、前に進めない。」「未来の俺を想像して」「大丈夫」といった、俺への応援歌の意味が込められていた。


俺は、その曲を聴いたとき、全身に大きな電流でも流れているかのように、ビビッと何かを感じ取った。この曲……イイ。どきどきと胸の鼓動が急ぐ。手に汗がにじむ。


「そうだな~。その曲の曲名は~……そうだ「この声が枯れるまで」なんてどうだ?」



「………長いよ。」




「ぶはっ!!確かになー。ここまで長い曲名は聞いたことねーなぁ。でも、ちゃんとこの曲名にしたのには理由がある。」



「理由?」


おう。と兄ちゃんはVサインを俺に送った。いつのまにか俺の心は晴れていた。



「俺は、この声が枯れるまで隼人に応援歌を歌い続けるって意味。まあ声が枯れても隼人のためなら歌ってやるぞ~~!!」



にいちゃん……。



「兄ちゃんは一番の俺の応援団だょ!」


俺は、そういうと兄ちゃんの拳に俺の拳をつきつけた。



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