この声が枯れるまで
「………ここかあ~~。」


「野外…ライヴだね、」


外に大きなステージがあり、マイクとドラム、ギターベース、キーボードが置いてあった。ベースは音を調節している。


「……ところでさ、誰のライヴ?」


「んー。書いてないのよ。それが。」


長尾は、ぺらぺらとマップをめくりながら言った。観客がぞろぞろと集まってくる中、だれがライヴするのか、有名人がくる気配など全くない。



俺達は少し待って、なんの進展もないので帰ろうと思った。が、その時



「はいはいはい~~~、みなさん長らくお待たせしました~。司会の田中でぇす」


司会の人が出てきた瞬間嵐のような拍手が俺らを包んだ。気がついたら、たくさんの観客が俺の後ろに並んでいた。



「すっげぇ~~。なんなんだ。このライヴは。」


「誰か有名人が来るって訳でもないのに、この観客の人数って…」


俺達はぽかんと口をあけたまま、しばらくはその口がふさがらなかった。





「ん…司会の人なんか言ってる。」


八木はそういって「しっ」と人差し指を自分の口の前に持ってきた。



「ここは自由にライヴをしてもいいという会場です。自分の作った歌をみんなの前で披露させてください!!いきなり参加でもかまいません!!誰かいませんかー?」




「へーえ。誰でも参加…かぁ。」


「誰、参加するのかなー?ねえ。隼人。」


そういって浩二は隼人の方をみた。隼人の目はキラキラしていて……やる気まんまん……



「まさか!!参加すんのか?」



「おう!もっちろん!」




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