〜夢叶〜
夜7時なのに
もうネオンがきらびやかだ
雑音の中に
リュックを抱えた若者、
客を集めるホスト達、
渋滞している道路…


そのなかで宗教団体が
演説をしている。

神様がいるなら
今、えみがどこにいるか
教えてほしい。

私の両親が離婚して
酒に溺れた母親に
毎日のように殴られて
たとき
えみが泣きながら
助けにきてくれた。
私はえみのおかげで
今、優しい里親の所で
過ごしている。

神様より私にとって
えみは救いだった

この汚れた世界の中で
たった一人の…。

だから えみに今
何かあったんなら私
が探し出して助けたい

相手の事教えてもらえば
よかった
なんでえみは教えて
くれなかったんだろ…


私ととしろうは交番に
いる警察や、キャッチを
してるホスト…
あらゆる人に聞いた
何万人と移動する人間
を覚えているはずがない
とは諦めたくなかった

私は写真を持って
色んな人に聞いた
けど知ってる人は
誰一人もいなかった

「ゆり、ごめん…
時間やね…」
「あ、ありがとね」
「駅まで送ろうか?」
「ううん、いいや。私
まだ居るよ」
「そっか、…またな」
「うん、またね」

私は一人で夜の新宿を
さまよっていた

えみがいるはずはない

そんな想いが邪魔をする

私は鳴らない携帯を
片手に何十往復もした
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