溺れる唇

ぐいぐい、と。

私に押され、急かされて。

地下から出された裕馬は、
出会い頭の事故に巻き込まれた
可哀想な被害者。

文句も言わず、大人しく
押し出されてくれたことに、
感謝しなくてはならないだろう。

何せ、私と裕馬では、
頭2つ分ほどの差があるのだから。


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