溺れる唇

ぽつりと、そんなことを口にして、
笠井さんはにこりともせずレンゲを取る。

笑わない笠井さんは、
こんな時にはきっと、初めてで。

私は訊き返すこともできずに、
俯くことを選んだ。

「冷めるぞ」
「・・・はい」
「・・・・・食べないのか?」
「食べます!」

即座に返して顔を上げると。



笠井さんは・・・


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