溺れる唇

「私は・・・裕馬しか見てない」

ささやくように口にした言葉は、
らしくない愛の告白みたいで。

私は一気に赤くなったであろう顔を
見られないよう、
こつんとおでこを合わせた。

「だ、だからね!美人の上司が来たら、
一緒にランチくらい行っても
いいんじゃない?ってことよ!
私は別に、んんっ?!」

まくしたてていた口を塞がれ、
私の言葉は最後まで言い終わらない
うちに遮られてしまった。

「俺も」

私の唇から離れた裕馬の唇が、
ニッと笑って、また押しつけられる。

「ちょ、んんー!」
「俺もだよ」

たっぷりと、私の息を貪った後で、
裕馬が言う。

「俺も、他の子なんて目に入らない
くらい、翔子が好きだ」


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