溺れる唇

「すっすすすきって・・・
私、そんなこと言ってないわよ」

くくっと嬉しそうに笑いながら、
裕馬は私を抱きしめる。

「言ってたよ。俺にはそう聞こえた」
「言ってないってば!」

顔を背けて言うと、裕馬はさらに
力を込めて私を抱きしめる。

「俺も。翔子だけを見てるから」


好きだなんて、私は言ってないけど。


「・・・・・うん」


私は、私を抱きしめる裕馬の
肩に顔を埋めて、頷いた。


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