雨降り少女
やがて夕立が降り、久しぶりの雨に乾燥した地面に小さな流れが出来た。


その雨に、紫陽花の葉から滑り落ちた、渇き切った小さなエメラルドグリーンの雨蛙がゆっくりと流れに乗って、川へ消えた。



子供が雨蛙を見つけ、興味もなさ気に流れて行くのを見つめていた。
その小さな手には、新聞が握られており、そこには綺麗なエメラルドグリーンの雨蛙の優しい写真が、大賞を飾った写真コンテストが報じられていた。




しかし、子供はその写真の彼女が目の前を流れる干からびた蛙だとは気付く事はなかった。



…雨降り少女~梅雨編~…END










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