雨降り少女
誰かが棒で私を打ち付けた。



血を吐いて、私は泣き叫んだ。




雨が豪雨になった。




誰かが、鍬で殴りつけた。




目の前が、白くなっていき…
補強だけされた、繋ぎ合わせの川の堤防が崩れる音が聞こえた。
それが、最後…









気がついたら、私はひとりだった。
あんなに、いた人もすべていなくなって、まるで“雨ですべてが流されたような”やけにつるつるした地面が、広がっていた。
その真ん中で、まるで“取り残されたように”傷だらけの私は座り込んでいた。
そこから、私は歩き出した。

あの人達がどこかに消えてしまったように…
私にもどこかに還るために…
どこかに、還るために…





本屋の主人が、長いこと軒先で雨宿りしている私に気がついて、追い払う仕草をした。
このあたりでも、すでに私のことが伝わっているらしい、あからさまな嫌悪の目だった。


しかし、雨の降る中には出て行くのが怖くて…
動けなくて…
ただ、立ちすくんでいた。











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