幸せ家族計画
「子育てって大変だけどね。一緒にやっていくことで絆も生まれるんだと思う。
私ね。前の夫とはできちゃった婚で。
予想もしてなかったら驚いちゃって。
一番最初の感想は『どうしよう』だった。
でも彼と夫婦になって、紗優の母親になって。
全く辛くないと言えば嘘になるけど、幸せだったわよ?
彼は、確かに紗優の前で私を母親扱いばかりしていたけど、
二人きりになれば、女扱いだってちゃんとしてくれた。
それに、あの子ができてからの方が……」
そこまで言って、少し黙る。
これを言うのは少し恥ずかしいから。
綾乃ちゃんは、今は不安より興味の方が強いらしく、身を乗り出してくる。
「出来てからの方が、……何ですか?」
「うぬぼれてるって言わないでね?
あの子が赤ちゃんの頃、自分が女だってすごく意識したの。
私はずっと、男社会の中でバリバリやってきたし。
どちらかといえば性格は男っぽい方だと思ってた。
彼の方が繊細で、家事なんかも上手だったのよ。
だけど、実際産んでみれば、夜泣きに先に気づくのも、紗優が泣いてるのが、オムツなのかお腹すいてるのかあてるのも私の方だった。
それを彼はすごく褒めてくれたの。
すごいなって。
母親ってすごいんだなって。
それがね、何だかとても嬉しかった。
彼に認められてるって実感したのね、きっと。
あの時、女で良かったなぁって私本気で思ったの」
「……」