幸せ家族計画


「紗彩、悪かったな。でも綾乃の話聞いてくれてありがとな。」

「いいえ。良かったらまた遊びに来て? 綾乃ちゃんも一緒に」

「はい。ありがとうございます」


 二人で並んで部屋を出て、コンビニまでの道を歩く。

手を握ったまま嬉しそうに微笑む綾乃は、ここ数日の中で一番かわいい。

マンションの一階まで下りた時、その笑顔が少しだけ曇った。


「でもやっぱり達雄は紗彩さんの事信用してるよね」


思い出したようにそう言って、一つ溜息をつく。


「そうか?」

「いいなぁ、私羨ましい」

「羨ましい……か? だって、紗彩って男っぽくないか?」

「え?」

「性格もさっぱりしてるし、気のいい姉貴か兄貴って感じがするんだよな。まあ紗彩の方が年は下なんだけどさ」

「でも付き合ってたんでしょ?」

「ああでも、抱いてる時はお前の事考えてたんだし……」


口にしてから凄いことを行ってしまったと気付く。

真っ赤になった綾乃は、何だか複雑な表情をしている。
慌てて何か言わなきゃと、俺は頭をめぐらした。

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