幸せ家族計画
「今度、綾乃の休みに合わせて、有休取るから。
一緒に病院に行こう」
「う、うん」
「俺にも見せてくれ」
「うん」
綾乃の涙が、Yシャツ越しにしみ込んでくる。
生まれてくるこの子が、俺や綾乃をきっといい方向へ変えてくれる。
今の英治のように、幸せだと言える家族の形をきっと作れる。
泣きやんだ綾乃の唇に軽いキスをして体を離す。
「ここ自宅じゃないよ」
「そうだった。帰ろうか。もう22時過ぎてる」
「うん」
英治が入っていった部屋を軽くノックすると、慌てたように英治と紗彩が出てきた。
この二人も何してたんだか。
突っ込みたい気持ちもあるけど、それはまた今度にしよう。