幸せ家族計画


「会社の資料もつくらなきゃいけないから遅くなりそう。英治くん先に寝てもいいわよ」

「じゃあ、こんなのやってる場合じゃないじゃん。他の人間に頼めよ」

「今更頼めないわよ」

「頼める人間がいるだろ」

「誰?」


疲れた表情で真剣に俺を見つめる紗彩。
ちょっと、ショックなんですけど。


「少なくともPTAの資料は頼める人間がいるだろ」

「だから誰よ」

「ここにいるだろって言ってるんだよ。俺はサユの親父なんだろ? PTAじゃん」

「……あ」


紗彩の口がポカンと開く。
そのくらい頭に入ってないのかと思うと若干イラつくな。


「俺は頼りにならない?」

「そんなことない。……でも、いいの?」

「そう聞かれる方が嫌だな。俺はサユの行事に手を出しちゃいけない?」

「違う。……ごめんなさい」


シュンとしょげて俯いてしまった。
ちょっと意地悪が過ぎたか。

でも悔しいことに変わりはないので、何かお詫びをしてもらわないとな。

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