幸せ家族計画
「どんな名前がいいのかなー」
家に帰ると、サユは俺が買った本を出して、名前一覧を見ながらブツブツ言っている。
「わたしの名前はパパとママから一文字ずつだよね」
「そう。紗は織物の事だよ。薄い着物みたいな感じ。優はそのまま優しいって意味。
サユは名前のまんまだな。柔らかく包むこむような優しさがある子だ」
「えへへ。褒められてる?」
「褒めてる褒めてる」
笑ってやると嬉しそうに頬を染める。
サユみたいな、素直な子になって欲しいな。
もちろん健康で、すくすく育ってほしい。
運動もできるようになってほしいし、頭も良いに越したことはない。
親ってなんて欲張りなんだろう。
「赤ちゃんって、男の子かな、女の子かな」
ポツリとサユが呟く。
そう、それも重要なとこだ。
紗彩がノートに貼りつけている超音波写真を持ってきて見せる。
「なんか良く見えないらしいんだよね。男だったらすぐ分かるもんらしいんだけど」
「どうして?」
「どうしてって」
あどけない表情のサユ。
本当に分からないんなら、教えない方がいいんだろう。