幸せ家族計画
「びっくりした」
「だってもうサユ寝たんだろ? いーじゃん。誰に見られるでも無いし」
「英治くんって案外そういうの好きよね」
好きだよ?
なんて言い返してみたくなる。
だって、好きな女と暮らしてるんだ。
いちゃついたって別に良いだろう。
さすがに子供の前では俺も控えるけど、寝てるんなら遠慮もいらないじゃないか。
ネクタイを緩めて、ふうと息をつく。
紗彩の持ってきてくれる夕飯とビールを目の前に、ようやく人心地ついた気分だ。
「ね。いつ達雄のとこお祝いに行く?」
「うーん。退院してから行くって言っておいた」
アイツが了解したかどうかは知らないけど。
「今日ね、買い物行ったら、可愛い出産祝いの袋があったから買って来ちゃった。ホラ」
「……なんかメルヘンチックだな」
ピンク色で、可愛い飾りのついたご祝儀袋。
サユとかも好きそうだな。こんなの。
「名前が素敵だったよね。キズナくんかぁ」
夢見るように紗彩が言う。
そう言われるとドキリとするが。
なんの、彩治(さいじ)だっていい名前じゃん。