幸せ家族計画
手元のグラスに視線を戻し、やれやれと言った風に息をつく、2つ隣の席の作家先生に茶々を入れる。
「相川さん、自分の奥さんにもそんな事言うんですか?」
「え? いやぁ。自分じゃあ言わないなぁ」
近寄りがたいと感じていた顔が、柔らかく緩む。
奥さんを愛しているのだな、と感じる瞬間。
いいよな。
こんな風に、愛する人と一緒になって。
ずっとずっと好きでいられるというのは、とても幸せなことなんだろう。
「オーナーが戻ってきたら、俺も帰ろうかな」
「君は言うの? 奥さんに」
「どうでしょうね。そういう局面にぶつかった事がないんで」
もうサユがいるし。
無理にもう一人欲しいと思ってる訳じゃないけど。
でももし、達雄のところに本当に子供ができてんなら、今から作れば同級生かな。
それはそれで面白いかも知れない。