幸せ家族計画
夕食はホテル一階にあるレストランに行った。
肉厚の牛ステーキにとろみのある絶品ソース。
赤ワインを傾けると、穏やかにこちらを眺めている彼と目が合う。
右手には、同じ色の液体が入ったグラス。
でも中身はグレープジュースなのだけど。
「うまいか?」
「うん」
「酒の飲み過ぎには気をつけろよ?」
「平気。私強いもん」
「紗彩も強かったけどのぼせたらしいぞ」
ポロリと、彼の口から出た言葉に、私の笑顔が固まった。
キョトンとした彼の表情が、段々驚きに変わるのが見える。
その瞳に映る私の表情は、明らかに険しくなっていた。
「なんでここで紗彩さんが出てくるの」
よりによって、元カノの名前を出すことなんかないじゃない。
彼は、しまったとばかりに口元を押さえる。
その動作に、ますます腹が立ってくる。