無口な上司の甘い誘惑~究極の恋~
傘を持ち上げて、

初めて誰なのかわかった。


「愛奈ちゃんは、雨女みたいだね?」

そう言って笑ったのは、誠之助さん。



「・・・そうみたいですね?」

力なく笑う私を、

自分の胸に抱き寄せた。



「・・・また、俊の事で泣いたのか?」


「・・・」


「何でそんなに苦しむ?」


「…好きだから」


「愛奈ちゃん…

好きになってくれなくてもいい、

結婚しろなんて言わない。

ただ、愛奈ちゃんの傍にいさせてくれ」


誠之助さんの抱きしめる腕に、

力が入った。
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