魔天戦史

四・八事件



「……ロストアークとは、神代の遺失物……純粋な力の結晶とも言うべきものだ…その力は、一つあれば一国を焦土とするぐらい、訳は無い……事実、過去の幾つかの原因不明の大爆発………そこには、ロストアークが関係しているものも少なくない……」




「……それ程の力を……」



「そうだ。それ故に、大元帥の勅命を受けた第零師団が秘密裏に回収し、管理していたのだ………そして、『門』の管理……」




「その、『門』というのは………」






「…『門』は、異界とこの世界の境界に存在し、二つの世界を隔てているものだ……その存在故に、人の目に触れぬ場所に安置されていた。その管理を任されていたのが、第零師団だった」



「『門』は、異界とこの世界を繋ぐ存在なんですね……」



「……そう……だが、28年前……まだ私が元帥になる前の話だ………第零師団が管理する門に、歪みが生じた……」




「………歪み、ですか………」



「あぁ……だが、最初は小さな歪みに過ぎなかった………歪みを修正し、門の存在を安定させ続けた……だが、28年前の四月八日……安定していたはずの門が、急激に不安定になり出したのだ……そして、存在が不安定になった門は、異界から、魔物の大群を呼び込んでしまった………」




「魔物の、大群……?」



「その時は、第零師団の半数がロストアークの捜索に駆り出されていた為に対応が遅れ、統合軍本部に甚大な被害を出してしまった………それを機に、統合軍は本部を移転し、今のニューヨークに移したのだ……それが、四・八事件……大過の春と呼ばれる事件の真相だ……」



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