魔天戦史
勇翔は携帯をしまってビルに急行した。
爆発したのは、確かに堂絃がいれられている監獄室だった。
「な、何だこれは……!?」
堂絃は突然の事態に呆然としている。すると爆発の煙の中にうっすらと人影が見えた。
「!…誰かいるのか……?」
その声に答えるかの様にゆっくりとその人影が煙の中から姿を現した。
「……貴方は…」
それは、仮面の男だった。
「なぜ…貴方が………」
「お前を助けに来た。さぁ、帰ろう。アイザックが待っている」
「あ、あぁ……」
堂絃は仮面の男が伸ばした手を握ろうと手を伸ばした。だが、仮面の男がその右手を急に下げた。まるで堂絃を拒むような身振りだった為、堂絃は目を見張った。
「な、なぜ……」
「一つ確認することがあってな……」
「………確認……とは…?」
「……お前、捕らえられてから何か喋ったか?」
「は?い、いや……」
「本当に何も喋っていないな?」
「あ、あぁ……」
堂絃は仮面の男の質問の意図が分からず困惑してきた。
「ただの一言も喋っていないな?」
「い、いや…一言もと言われると………」
「………喋ったのか…………」
その瞬間仮面の男の放つ気配が一気に変わった。堂絃はその気配にたじろいだ。
「………残念だ…同志をこの手で斬ることになるとは……」
「な、なにを……」
仮面の男は腰に提げた剣をゆっくりと引き抜いた。その白刃がゆっくりと振り上げられた。
「な、なぜ……!?」
「せめてもの情けだ………怨んで貰って構わない…」
「や、止めろ……!?」
しかし仮面の男は無情にもその白刃を振り下ろした。