魔天戦史

｢…凄い…!｣

｢まぁ、基本はこんなとこだな。一回やってみろ。｣

｢は、はい…｣

勇翔は憲蔵のように右手を前にかざした。

｢…ライトニング！｣

するとさっきの憲蔵のものよりは威力は低そうだが、雷が落ちた。
｢ふむ…まぁ、それでいい。次は走らせるタイプだ。｣

｢はい…｣

勇翔は右手を前にかざした。次に近くにあった木に狙いを絞った。
｢…ボルトランス!｣

すると雷が意識した道筋をなぞって木に走った。木は雷の直撃で吹き飛んだ。

｢ふむ…精度はまだ甘いが、威力は十分だ。ライトニングと使い分ければ問題無いだろう。｣

｢はい。｣

その時憲蔵のケイタイが鳴った。

｢俺だ…そうか、分かった。｣

憲蔵はケイタイをしまった。

｢ヘリがもうすぐ着くそうだ。表に回る。行くぞ。｣

｢はい。行こう、ケルン。｣

｢ニャー｣

二人とケルンは小屋の表に回った。しばらくして空からヘリが近付いて来た。

｢来たな…｣

ヘリは二人の近くに降りた。

｢憲蔵!!｣

開いたドアから顔を覗かせたのはユリスだった。二人はヘリに乗った。

｢済まんな、ユリス。｣
｢いや、気にするな。あれは渡してくれたか？｣

｢あぁ。感謝していたぞ。｣

｢そうか。ならいい。君が…｣

ユリスは前の席から振り返らずに言った。

｢あ、はい。坂原勇翔です。｣

｢そうか。私はユリス・ケイラー。国連統合軍第八師団師団長だ。よろしく。｣

｢あ、はい。よろしくお願いします。｣

｢ユリスの第八師団は国連統合軍最強の艦隊師団だ。艦隊戦において負けたことは一度も無い。｣

｢そうなんですか。｣

｢あぁ。艦隊戦のノウハウが学びたければうちに来るといい。歓迎しよう。｣

｢おい、ユリス…｣

｢ふふ、冗談だ。｣

｢その性格は変わらんな、お前は…｣