【完】俺だけを愛して溺れろ。



「蒼空は、凜を必要としているよ?」


『……、』



「だから、あいつから離れないでやって?」



『……』



「んじゃ、俺は教室に戻るわ」



手をヒラヒラさせて立ち去る将生さんの背中をただ見つめる。



『(あぁ、そうか)』



あたしは、肝心なことをすっかり忘れてた。



中島には、“警視総監の息子”という肩書きがある。



それが邪魔して、甘えられないんだ。



甘える人がいないんだ。



それを今頃思い出すあたしは最低だ。


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