【完】俺だけを愛して溺れろ。
「出ねぇのか?」
『え……?あっ、出る』
洸太が怪訝な顔であたしを見据えてきたので、何も考えずに反射的に答えてしまった。
だから、電話に出るしかなくて……。
あたしは少し震える指先で通話ボタンを静かに押して、それを耳に押し当てる。
『も、もしもし……?』
「今、どこ!?」
『は……?』
「てか、すぐ電話に出ろよ!」
『ご、ごめん』
蒼空が声を張り上げて言うものだから、おどおどせずにはいられなかった。