一緒に暮らそう
「困るんだよねぇ。月の賃料たった5万円じゃこっちも厳しいんだよ」
レジの前でジャンパー姿の中年男がぼやく。彼は紗恵の叔父、つまり母親の弟で祖母の一人息子だ。祖母の不動産である店舗を相続して、それを紗恵に貸している人物だ。
「国道沿いだし好立地だから、この条件なら6万はもらってもいいところなんだけどねえ。お前がいつも渋るからなかなか値上げできずにいたんだよ。でもね、いくら親戚だからってボランティアみたいなことはできないんだよ」
叔父には妻子がいるが、家族ぐるみの行き来は皆無に等しい。彼はどうも姪である自分のことを煙たく感じているようだ。姉が未婚のまま産み捨てた父なし子のことなど、身内の恥だと思っているのだろう。彼の妻などは、地元で良くない評判のある紗恵のことをあからさまに馬鹿にしている。
「それはわかってます。でも、私の店もギリギリのところで回しているんです。どうか賃貸料は現状維持でお願いできないでしょうか」
紗恵は懇願する。
レジの前でジャンパー姿の中年男がぼやく。彼は紗恵の叔父、つまり母親の弟で祖母の一人息子だ。祖母の不動産である店舗を相続して、それを紗恵に貸している人物だ。
「国道沿いだし好立地だから、この条件なら6万はもらってもいいところなんだけどねえ。お前がいつも渋るからなかなか値上げできずにいたんだよ。でもね、いくら親戚だからってボランティアみたいなことはできないんだよ」
叔父には妻子がいるが、家族ぐるみの行き来は皆無に等しい。彼はどうも姪である自分のことを煙たく感じているようだ。姉が未婚のまま産み捨てた父なし子のことなど、身内の恥だと思っているのだろう。彼の妻などは、地元で良くない評判のある紗恵のことをあからさまに馬鹿にしている。
「それはわかってます。でも、私の店もギリギリのところで回しているんです。どうか賃貸料は現状維持でお願いできないでしょうか」
紗恵は懇願する。