一緒に暮らそう
 夜になると時々、昔のことを思い出す。
 思い出したくないことばかりふいに頭の中によみがえる。このフラッシュバックというやつはなかなかの厄介者だ。
 
 今夜浮かんできたのは、小学5年生の時の思い出だ。
 熱い真夏の夜のことだった。その日はお盆で、親戚の人たちが祖母の家に集まっていた。
 そこにいたのは祖母と叔父と親戚のおばさんたちだった。彼らは夜になっても帰らずに、居間でしゃべっていた。

 紗恵はいつものように祖母の部屋で眠っていたが、トイレへ行きたくなって目が覚めた。用を足して部屋へ戻る途中、大人たちの声が漏れ聞こえた。

 好奇心にかられ、彼女は戸の近くまで忍び寄り、耳をそばだてた。
 暗闇の中、戸の隙間から一筋の光が漏れている。大人たちの声も朗々と響き渡ってくる。
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