一緒に暮らそう
 新多から見ると二十代の男は子どもっぽい。子どもっぽいところがあるから、そんな下世話なネタで盛り上がるのだ。若い連中はお気楽なものだと彼は思った。

 携帯でデリバリーサービスに電話をするも、今日店は休みだった。
仕事も片付いたところだし、新多は退社することにした。どこかで酒でも飲みながら何かを食べて、それからマンションに帰ることにした。

 ちょくちょく立ち寄る居酒屋も今日は休みだった。ついていない。
 新多は国道8号線を車で走っている。路肩にはねずみ色に汚れた雪が寄せられている。路面のアスファルトがやっと顔を出してきたところなのに、この雪でまた隠れてしまうかもしれない。
 フロントガラスの向こう側に無数の白い粒が舞っている。こう視界が悪いと、もうどこへも寄らずに家へ帰りたくなる。よそ者の新多には慣れない天候だ。こんな曇天の日がこの町では半年近くも続く。
 そろそろよそへ転勤したい。どこかもっと暖かい所へ。もっと空が明るい町へ。

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