一緒に暮らそう
「中山さんはお変わりありませんか」
「僕は元気やで。あんたをしばらくぶりに見たら、ちょっとふっくらしたんちゃうか」
 紗恵の姿を見て、中山さんは気づいた。
「え、やっぱりわかりますか」」
「せや。もしかしてあんた、おめでたと違うか」
「そうなんです。実は今、私は妊娠四か月なんです。やっぱり中山さんは私のことなら何でもお見通しですね」
 紗恵が笑顔を浮かべる。
「ほんまに!? それはおめでとう! 予定日はいつなん?」
 中山さんも満面の笑みを浮かべた。
「10月です」
「赤ちゃんの性別はまだわからへんの?」
「ええ。それは生まれてからのお楽しみしようと思っていますから、あえて調べないことにしているんです」
「ほうか。ほんならあんた、産休にはいつから入らはるん?」
「ここでの仕事は立ち仕事ですから、オーナーも無理をしないで早めに休みに入っていいと言ってくださるんです。だから来月にはもう産休に入ろうかと」
「ほうか。それは楽しみやな。産後はしばらく子育てをして、それから仕事に復帰するつもりなん?」
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