一緒に暮らそう
「またやられたんだな」
新多が声を掛けた。

彼の問いに、紗恵はこちらに背中を見せながら、黙ってうなずく。

紗恵の肩が震えている。

新多はそのか細い肩を抱きすくめたい衝動にかられたが、その気持ちを抑えた。

「こんな所に座っていてもなんだから。体も冷えるし。そこに掛けないか。片づけは後でやろう」

新多に促されて、紗恵はおずおずと、土間とバックヤードの境目の上がりかまちに腰を掛ける。

紗恵はうつむいて涙をこらえている。女だけど人に涙を見せまいとするタイプだ。

「あいつらは一体どういう連中なんだ。一体全体どういういきさつであんなたちの悪い連中につきまとわれるようになったんだ」

新多にたずねられて、紗恵はとつとつと事情を打ち明け始めた。
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