【完】君と流れ星を。
言えない。

言いたい。

やっぱり言えない。


困って下を向いた私の頭の上に、ポンっと大きな手がのった。


「ごめん、ごめんって。ちょっとからかっただけだよ」


頭にのせられた手が髪を撫でて、指が毛先をくるんと弄ぶ。

その仕草だけで心臓が止まってしまいそうだった。


余計に顔が上げられないよ……。


髪を触っていた指がそのまま頬に触れて、支えられるようにして上を向かされる。


「そんな表情(かお)は他の奴にするなよ?」


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