【完】君と流れ星を。
言葉は遮られてしまったけど、私は『先生が好き』ってそう言うつもりだったの?

自分で自分を乱して、そして見失いはじめている。


「知ってるから。これは俺の自己満だから」


まっすぐ向けられた想いに息苦しさすら感じた。



『好き』って気持ちには形がなくて、不安定で、でも、こんなにも確かなもので、強くて、苦しい。


「なあ、好きとかさ、もっと単純なもんなんじゃないの?自己中で、傲慢で、お前だけのもんだろ」


澤田くんはそれだけ言うと、私の方を振り返らずに出口に向かった。


「明日、10時に、ここ」


「へ?」


「後片付け」


私は何も答えることができず、出ていく彼の影を見送った。
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