【完】君と流れ星を。
そんな俺の言葉なんて聞こえてないみたいに、裕子は箱を机に置き、自分はさっさとソファに座った。


ったく、自分勝手なヤツ。


……だけどホントは分かってる。

裕子が俺に構う時は、必ず俺が落ち込んでる時だってこと。


だから俺は文句を言わずにコーヒーを作り始める。


「ねぇ樹くん、これ覚えてる?」


裕子はそう言って包みを指差した。


上品なラベンダー色の包装紙に、濃紺のリボン。

それは甘いものをあまり食べられなかった大学時代に、唯一気にいったお店の包み。
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