携帯電話をめぐる狂気
「ねえ、そんな顔しないで」
女は、飛び散ってしまった携帯電話を、青ざめた顔をして見つめている。
男がそっと、指先で女の頬を撫でた。
女はびくりと体をすくませる。
「怖がらせたいわけじゃないんだ。」
男はすぐに指を引っ込め、女から数歩離れた。
「ただ、君のことが好きなんだ」
男の目が、扉の隙間から差し込む夜光で、青くきらめく。
「愛してる。君を、僕だけのものにしてしまいたいくらい」
男は囁いて、ゆっくりと、女に歩み寄った。
退こうにも、女の背後は壁。
逃げられない。
男が顔を寄せた。女は固く目を閉じる。
男が薄く唇を開く。
「愛してる」